この家は両親が結婚した際に建てたもので、かれこれ築30数年になるかと思います。私はすでに実家を出て一人暮らし。親も別のところに住居を構えたため、しばらくは空き家状態が続いていました。昨年私の結婚がまとまり、せっかく家があるのだからリフォームして新居にしようという話になったんです。父と水嶋建設さんが旧知の間柄だったので、ごく自然な流れで迷うこともなくお願いしました。職場の歯科医院が目の前だし、通勤は超ラクですよー。お昼ごはんも、いったん家に戻ってのんびり食べられます(笑)。
古いといっても、伝統的な和風建築で造りそのものはいたって頑丈。使えるものはできるだけ残して利用し、使いにくい部分は思い切って改装するというのが基本的な方針でした。具体的には、大黒柱や玄関ホールの無垢床は磨き直しただけですし、日本家屋の趣を感じさせる欄間や床の間、縁側などもほぼ原型のまま。リビングにもあまり手を加えていません。反対にガラリと変わったところは、シアタールームを新たに設けたことと水回り。実をいうと、シアタールームは二人ともいちばんほしかった部屋なんですよ。ダイニングキッチンやバスルーム、トイレ、洗面所には最新の設備を導入して、雰囲気も機能も快適性も飛躍的によくなりましたね。あと2階の寝室は天井を取り払い、化粧梁を見せると同時に屋根から採光できる設計にしました。
どの部屋もそれぞれ居心地いいのですが、中でもシアタールームは格別。防音対策も完璧ですから、音量を気にせず大きなプロジェクターで好きな映画を鑑賞したり、音楽を聴いたりテレビゲームで遊んだり読書したり、過ごす時間がついつい長くなっています。たまにはそのままソファで眠ってしまうことも……(笑)。それから窓をサッシに変更した縁側も日差しが気持ちよくて、季節の情景を眺めながらくつろげるお気に入り空間です。
何しろ建築のことも設備や建材のこともそれほど詳しくないし、情報を集めるような時間的余裕もあまりない。とにかくほしいものや抽象的なイメージの希望をたくさん伝えたんです。水嶋さんはそんな事情も十分に理解して、「ここはいい木を使っているから活かさないともったいない」とか、「プロジェクターは自分で買ったほうが安上がり」とか、親身に事細かくアドバイスしてくれました。造作家具のデザインや色、素材などを選ぶ楽しさも味わえたし、「囲炉裏で焼き肉がしたい」なんてわがままにも快くつきあってもらえてありがたかったです。個人的な感想ですけど、おそらく売り上げアップよりも、納得できる仕事でお客を喜ばせたいっていう職人気質の会社なんでしょうね。ほかの業者のことはよく知りませんが、水嶋さんに頼んで正解だったよねと二人で話しています。